2016年5月16日月曜日

クロアチア代表 EURO2016暫定メンバー発表



チャチッチ監督により、EURO2016に臨む暫定メンバー27名が発表されました。5月31日日本戦に臨む23名がこの中から発表される予定です。

GK
ダニエル・スバシッチ(ASモナコ)
ロヴレ・カリニッチ(ハイドゥク・スプリト)
イヴァン・ヴァルギッチ(リエカ ※ラツィオからのローン)
ドミニク・リヴァコヴィッチ(NKザグレブ) 初招集

DF
ヴェドラン・チョルルカ(ロコモティフ・モスクワ)
ドマゴイ・ヴィダ(ディナモ・キエフ)
ゴルドン・シルデンフェルド(ディナモ・ザグレブ)
ティン・イェドヴァイ(レヴァークーゼン)
ドゥイェ・チャレタ=ツァール(レッドブル・ザルツブルグ)
ダリヨ・スルナ(シャフタール・ドネツク)
シメ・ヴルサリコ(サッスオーロ)
イヴァン・ストリニッチ(ナポリ)

MF
ルカ・モドリッチ(レアルマドリー)
イヴァン・ラキティッチ(バルセロナ)
マルセロ・ブロゾヴィッチ(インテル)
マテオ・コヴァチッチ(レアルマドリー)
ミラン・バデリ(フィオレンティーナ)
マルコ・ログ(ディナモ・ザグレブ)
イヴァン・ペリシッチ(インテル)
アレン・ハリロヴィッチ(スポルティング・ヒホン ※バルセロナからのローン)
ドマゴイ・アントリッチ(ディナモ・ザグレブ)
アンテ・チョリッチ(ディナモ・ザグレブ) 初召集

FW
マリオ・マンジュキッチ(ユヴェントス)
ニコラ・カリニッチ(フィオレンティーナ)
アンドレイ・クラマリッチ(ホッフェンハイム ※レスターからのローン)
マルコ・ピアツァ(ディナモ・ザグレブ)
ドゥイェ・チョップ(マラガ)



主な落選は以下の通り
GK:ゼレニカ(ディナ・モザグレブ)
DF:ロヴレン(リヴァプール)、ピヴァリッチ(ディナモ・ザグレブ)、レシュコヴィッチ(リエカ)、プラニッチ(パナシナイコス)
MF:モチニッチ(リエカ)、パシャリッチ(モナコ)、ヤヤロ(パレルモ)
FW:レビッチ(エラス・ヴェローナ)

このうち、ロヴレンは既報通り、前回の代表戦での規律違反により選外(追放)。ピヴァリッチは前十字靭帯断裂、パシャリッチは椎間板ヘルニアなど怪我による落選です。


大きなサプライズはなかったものの、ストリニッチが2014年11月以来となる代表復帰となり、チョップも2015年10月以来となる代表復帰となりました。また、リヴァコヴィッチとチョリッチがU21から初召集となったほか、チャレタ=ツァールとログといった力のある若手が固定メンバーに加えて選ばれた印象です。国内では、チャチッチが「エドゥアルドの招集も考えている」とか事前に言ったせいでサプライズとしてこぞって報じられていましたが、結果的には選外となりました。

ロヴレンの代表追放については、癇癪持ちのチャチッチに対してロヴレンも態度を硬くしておりもうしょうがないという感じ。ただ、そのおかげでヴィダのCB起用が濃厚になるため、左SBの控えが不足してしまいストリニッチの復帰となりました。そもそも、純粋な左SBの欠如はブラジルW杯以前から指摘されていましたが、ナポリで構想外となりかけていた選手を2年ぶりに招集して土壇場で頼らざるを得ない状況は極めてマズイとしか言いようがありません。

選ばれた若手に関しては順当だと思います。リヴァコヴィッチはU21の守護神、チャレタ=ツァールやログ、チョリッチも所属クラブでレギュラーとして力を発揮している有望株です。特にログとチョリッチの2人は今後ビッグクラブへ行くことが期待されるような逸材と言われています。


ここから4人落選となるわけですが、GKから1名と、チャレタ=ツァール、ログ、チョリッチ、チョップから3名となるかなと予想しています。今後、クロアチア代表は現地時間5/28にモルドバと、6/4にサンマリノとトレーニングマッチを行い本大会に臨む予定です。

本大会ではスペイン、トルコ、チェコと同じグループDでいわゆる死の組ですが、正直この監督では無理だろうなと思っています。前任のコヴァチ監督が数年かけて築いたシステムを直前になって壊し3バックを導入したり・・・。本大会では選手たちのプレーを楽しむことをメインにしようと思います。


2016年5月11日水曜日

マイケル・ヘクターの野心「ジョン・テリーの後を担う準備ができている」

 少し前のものですが、ヘクターのインタビューを紹介したいと思います。彼の言葉は非常に野心的かつ冷静で、すごく興味深いものばかりです。1つ目がガーディアンのインタビュー。2つ目がいくつかのインタビューや記事をまとめたものです。気にかかる方は下記リンクから原文をどうぞ。あまりに情報の少ない彼を知るいい機会になれば幸いです。

 ちなみに、タイトルの言葉はMirrorの記事を転載、改変したSunによるものです。実際にヘクター本人がこの言葉を述べたわけではありません。(さすがザサンという感じです)


<元記事>
⑤ 公式サイト : Hiddink: As nature intended

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 2015年8月31日、ヘクターは家族と親族の集まりの場にいた。実は当時、レディングで初めてCBのレギュラーとしてフルシーズンを過ごしたことが評価され、クリスタル・パレスへの移籍がすでに大詰めとなっていた。1本の電話が鳴るまでは。

「あの日(デッドラインデー前日)は父とブロムリーにいる親戚のもとを訪れていた。あの時は自分はパレスへ移籍するものだとばかり思っていたよ。取引はもうほとんど終わっていて、あとは現地に行って手続きを完了させるつもりだった。そしたら、1本の電話が入って父がその場を離れたんだ。『今の電話、誰からだったか分かるか?』と父は戻ってきて僕に聞いてきたよ。その電話はチェルシーのダイレクターの1人からで、移籍をかっさらいたいというものだったんだ。はじめは父が冗談を言って僕をからかっているだけだと思ったよ。」

 ヘクターはイーストハムで育ったが、その生涯に渡って彼はチェルシーサポーターである。チェルシーが獲得に興味を持っていると知ったその瞬間、決まっていたことは全て白紙に戻り、彼がすべきことはデッドラインまでにチェルシーへの移籍手続きを完了させること、もうそれだけだった。

「チェルシーが連絡を寄越してきたその瞬間から、僕が行きたいチームはチェルシーだけになった。僕はチェルシーファンだし、チェルシーは世界でもビッグクラブの1つだ。その日の夜遅くにスタンフォードブリッジで交渉を行って、翌日にはメディカルチェックと契約書にサインをして全てを終えたよ。ちょっとクレイジーだったし、てんてこまいだったね。」


 モウリーニョとは『君はレディングへ戻ることになる。今すべきことに集中して、ハードワークに努めろ。』とわずかな言葉をかけられ握手を交わしただけ。ほろ苦いものだった。それでも、ヘクターは特に問題ないと気に留めなかった。

「僕はレディングにいる時から既にいくつもローン移籍を経験していたし、1番大切なことはフットボールをできるのが保証されていることだ。当時の監督だったスティーブ・クラークはレディングに戻るうえで重要な要因だったよ。その前のシーズンに副キャプテンを任せてくれて、たくさんの自信を与えてくれた。彼が、僕をローンバックさせて自分のもとでプレーさせたがったんだ。彼に電話で呼び出されて言われたよ、『お前は戻ってこないといけないんだ、そして俺たちを昇格させろ。』ってね。」

「エディ・ニュートンやパウロ・フェレイラが試合や練習の視察に何度も何度も訪れてくれてる。見に来てくれるだけじゃなくていくつか言葉も交わすよ。それに、チェルシーのローン選手の分析担当者がまとめてくれたレポートにも目を通している。加えてレディングのスタッフからもアドバイスをもらえるし、おかげでたくさんのフィードバックが得られてるよ。自分はラッキーだと思う。」

「僕には改善できるところがいくつもあるし、チェルシーが僕に満足しているところもいくつかある。今シーズンは中盤でプレーすることが何度もあったけど、マクダーモット監督がそのことについてもチェルシー側と話してくれていたんだ。このコンバートで僕は組み立てのスキルを伸ばすことができたと思うし、チェルシー側もこの部分の成長に興味を持っているみたいだ。このまま成長を続けていきたいし、そのためにたくさんの手助けを受けているところだよ。」


 それでも、チェルシーに割って入ることは途方もないものに見える。ローン勢にもクリステンセンやカラスなど複数のCBがいる上に、この冬にはミアズガも加入した。中盤でプレーできることに関しては、アケも同じくプレー可能だ。

「それがチェルシーだよ。知っての通り、チェルシーは基本的に望んだ選手は誰でも買うことができる。でも、優秀なCBたちと競い合うことは僕にとって成長の助け以外の何物でもないんだ。だから、それで自分が忘れられちゃうんじゃないかとか心配することはまずないよ。」

「物事がうまく進めば、夏にプレシーズンツアーでトップチームに帯同出来ると思う。そこから何が起こるか見てみよう。物事がどうなるかなんて誰にもわからないさ、今までだってレディングのトップチームに加わるまで何度もローンを繰り返しながら待ってきたんだから。だから、僕はこういう状況の扱いにはもう慣れているんだよ。」 


 慣れていると彼は言うが、ヘクターはレディングでデビューを果たすまでに実に11ものローン移籍を経験しているのだ。彼が18歳の時、ホーシャムFC(アマチュアリーグ所属)で過ごした10/11シーズンでは11試合で3枚ものレッドカードをもらい8試合の出場停止処分を受けたこともある。

「もっと早く大人になってるべきだったよ、当時の僕はノンリーグでプレーするにはかなり未熟だった。それでも、ファンの前でプレーすることで得られる本当の興奮を知ることができたよ。たった数百人だったかもしれないけど、それでも未だに沸き立つものがある。こういう試合は、出場給が住宅ローンの返済に使われるような人たちと一緒にプレーするようなもので、ユースチームの試合よりもうんと個人的なものだ。人々もゴール裏でトップクラブの試合では決して見られないようなことをしでかそうとする。自分のローンキャリアの中でも、ノンリーグ時代は一度ミスを犯そうものならロッカールームはまるで戦争みたいになったよ。そこでは1つのミスがそれを以上のものを意味することになるからね。」

「レディングではたくさんの年下に対して、若いうちにローンに出てみろよと言ってきてるんだ。大人の世界のフットボールを経験するためにね。そうして戻ってきた時に、アカデミーで自分は本当によくしてもらっていたんだと感謝することになるんだよ。でも、はじめは誰も分からない。だからこそ若い子に、時には綺麗ごとだけでは済ませられないこともある、それでもやるしかないってこともある、と僕は伝えたいんだ。」

 23歳となった彼は、父がルーツを持ちクリケットの代表選手としても活躍した、ジャマイカ代表を選択しA代表デビューを飾った。そしてウェズ・モーガンと共にコパアメリカやゴールドカップでプレー、ゴールドカップではジャマイカの準優勝に貢献した。

 好機逸するべからず。ヘクターは忍耐力でチャンスをモノにしてきた男なのだ。


記者:Nick Ames  2016/3/11 TheGuardianより

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 マクダーモット監督は、ヘクターは来シーズンチェルシーへ戻ることになると明言した。チェルシーは今シーズンでジョン・テリーが契約満了となる可能性がある。ヘクターは今シーズン本職のCBではなく中盤でのプレーを多く任されていたが、この経験がテリーの抜けた守備陣の補強として帰還した場合に役に立つことを期待している。

「僕は今までたくさんのポジションでプレーしてきた。右SB、CB、セントラルMF、そして右のウイングも。このおかげで、異なるポジションでのプレイにも順応できるし、試合をより深く知ることができる。」

「レベルが高くなればなるほど、ディフェンダーとして守備する時と同じようにボールの扱いにもより長けている必要がある。中盤でプレーすることはボールの扱いが上手くなることの助けになるんだ。CBに戻った時に、この経験を活かしてより足下に余裕を持てるように、そしていいプレーができるようになりたいんだ。」

 チェルシーの上層部、特にTDであるエメナロはヘクターのユーティリティ性とスキルに期待している。今シーズン更にレディングで経験を積んだことで、ヘクターが来シーズンのスカッド内で役割を持てると考えている。

 ヘクターは35試合に出場し、ピアゾンと共にローンを切り上げ5月から約1か月の間トップチームで練習に参加することとなった。首脳陣へのアピールタイムが与えられたわけだが、その中でヒディンクが彼のことを称賛している、と公式サイトで紹介されている。

「ヘクターはピアゾンと共にコバムに戻ってきたが、チームの中でうまくやってくれている。私にとって彼のプレーを見るのはこれが初めてだよ。簡単ではあったが、少し会話も交わした。」

「彼にとってはプレー速度が上がることになるし反応していかなくてはならないんだが、彼はすぐに学んだよ。試合や練習のペースにも慣れていかないといけないが、彼にとっては時間の問題だと考えている。」


 夏の最終日に突然やってきた知らない選手は、もしかしたら案外掘り出し物なのかもしれない。